事務所にお爺さんが入ってきた
切り替えて釣りに行こうと思ったらお爺さんが入ってきて、何やら受付の女性と
「もう一泊したいんだけどいいか?」
「もちろんOKよ」
みたいな会話をしていて、その後自分の斜め前の席に腰掛けると、チラチラとこちらをみてきます。
せっかくなので、こちらから話しかけてみました。
「おはよう」
「すごく美しい日だね」
みたいな会話から始まり、色々と話しました。
自分が日本から来たことを伝えると、お爺さんも自分のキャリアを話してくれました。
お爺さんが若い頃には徴兵制が残っていて、ベトナム戦争に3回行ったこと、沖縄で在日米兵経験がること、その後は教師としてキャリアを終えたことを話してくれました。
日本人としては、せっかくであれば第二次世界大戦のことを一番聞いてみたかったりもしたんですが、このお爺さんは80歳。そう、ちょうど日本の戦後80年と同じです。終戦の年にこのお爺さんも生まれているというわけです。

自分が子供の時には小学校に戦争を経験した人が来てお話をしてくれたりしたこともありました。でも、現代を生きる人にとって、戦争を経験した人のほんとうの生の声を聞くことは、とても難しくなっていることに気付きました。
日本ではほんとうの意味で戦争を知らない人間が過去の戦いを美化したり、「平和のために核を持とう」なんて発言がトレンドですが、日本が平和を目指すのか、歴史を繰り返すのか。戦後80年というのは、ターニングポイントなんだろうなと思います。
最後におじいさんとは握手を交わし釣りに向かうことにしました。お爺さんもフライでこれから釣りに行くみたいですね。
釣りに行こう
前回のブログにも書いた通り、メイン州政府が定めているルールでこの時期には多くの川や池でフライフィッシング以外の釣りができません。昨日の晩に何とかして見つけたルアーOKの湖をまずは目指してみようと思います。
まずは、キャンプサイトから川の上流に向かって数キロ先にある「Ripogenus Lake」。

かなり減水していてふだん水があるだろうラインを歩いて釣りできそうです。

湖の周囲には白樺の木や紅葉している広葉樹が生い茂っています。減水しているので、日本で見つけたら家に持ち帰りたい感じの良い流木もたくさん落ちています。
湖が広いので、なるべく遠投できるように大きめのスプーンをチョイス。
数投目、岸沿いにリトリーブしていると・・・
コンコンッ!
のりました。 何かな〜と手元まで寄せてくると・・・

Fall Fishですね!前回のメインでも川で釣れたコイ科の魚です。日本でいうニゴイとかそんな感じの魚ですね。
まだまだアメリカでの釣りの経験が浅いので何とも言えないですが、前回Brookが釣れた川ではFall Fishっていなかったんですよね。どちらかというともっと水が透明で流れの緩急があるようなところに、Brookは生息しているという感じ。
ただ、この湖にもBrookやLake Troutが潜んでいるという情報があったので、多少は期待していたのですが、どうだろうか・・・
その後も1時間ほどキャストを繰り返しましたが、結局最初のFall Fishだけ。
正直あまりトラウトが釣れそうな雰囲気では無いですし、キャンプサイトの受付の女性も
「Ripogenusは、、、んーーーー」
みたいな表情をしていたので、難しいのかもしれません。
それでもメインの北部で誰もいない湖って想像を絶するくらい静かなんですよ。
この日は風も全然なかったので、本当に
「シーーーーーーーン」
としているんですよね。自分が歩いてコロコロと転がる小石の音が鮮明に聞こえるくらいとても静かなんですね。
これがすごく気持ちいい。それと同時に怖さすら覚えてくるほど。そらは曇っているし、何だか不気味な雰囲気もあります。でもこれがメイン州ですね。
少し歩いていると大木の切り株が。
樹齢何年だろう。エルエルビーン(1912年)と同い年くらいか?
そこまででは無いとしても、お爺さんよりは確実に年上だっただろうな。。。

クマが水飲みにやってきそうな雰囲気なので、ベストに掛けたクマ鈴をジャラジャラと慣らしました。湖の沈黙が破られる心地悪さと、どこか安心した気持ちで車へと戻りました。

つづく